北海道の太平洋側、白老町の西端に広がる虎杖浜。この小さな浜の集落では、何十年も変わらない朝の風景が繰り返されています。
まだ暗い海へ
漁師たちの朝は早い。まだ夜が明けきらない午前4時、虎杖浜の漁港にはエンジン音が響き始めます。冬の北海道、外気温はマイナス10度を下回ることも珍しくありません。防寒着に身を包んだ漁師たちが、慣れた手つきで出港の準備を進めます。
虎杖浜のすけとうだら漁は、伝統的な刺し網漁。大型の底引き網とは異なり、魚を一尾ずつ丁寧に漁獲する方法です。手間はかかりますが、魚体を傷つけず、卵の品質を保つことができます。
海が育む完熟卵
虎杖浜の沖合は、寒流と暖流がぶつかる豊かな漁場。プランクトンが豊富なこの海域で育ったすけとうだらは、身が引き締まり、卵も粒が大きく張りがあります。
漁期は10月から翌1月にかけて。水温が下がるにつれて卵は成熟し、12月の2週間ほどが最も品質の高い完熟卵が獲れる時期です。漁師たちはこの短い旬を逃さず、海の恵みをいただきます。
浜に生きる
虎杖浜は人口約1,800人の小さな集落ですが、全国のたらこ生産量のおよそ1割を担う一大産地です。浜には大小の加工場が並び、漁獲されたすけとうだらは、その日のうちに卵の取り出しと選別が行われます。
鮮度が命のたらこづくり。漁師から加工場、そして蒲原水産の漬け込み工程へ。この「浜の連携」が、虎杖浜たらこの品質を支えています。
変わらない想い
近年は海水温の変化や漁獲量の減少など、浜を取り巻く環境は決して楽ではありません。それでも虎杖浜の漁師たちは、毎朝変わらず海に出ます。
お客様の食卓に届くたらこの向こうには、この浜で海とともに生きる人々の日常があります。一腹のたらこに込められた想いを、ぜひ味わっていただけたら幸いです。